エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「ち、違……」

否定しようとしても、言葉が弱い。
そんな私に、麗華は少しだけ寂しそうに微笑んだ。

「わたくし、別にあなたをいじめたいわけではありませんの」

「……」

「ただ、確かめたかっただけですわ」

そして、少しだけ視線を伏せる。

「わたくしはずっと、カイルさまの隣に立つのは自分だと思っておりました」

その声音は静かで、でも少しだけ苦い。
初めて、麗華がただの嫌なライバルじゃない気がした。

「家柄も、立場も、周囲の期待も。全部そろっているのはわたくしだと」

「九重さん……」

「でも、違いましたのね」

麗華はゆっくり顔を上げる。
その瞳には、強さと悔しさが一緒ににじんでいた。

「カイルさまが見るのは、最初からずっとあなただった」

胸がぎゅっと締めつけられる。

そんなふうに、他の人の口から言われると苦しい。
嬉しいはずなのに、うまく受け止められない。

「わたくしは負けるつもりはありません」

麗華ははっきりと言った。

「でも、正々堂々と向き合いますわ」

その言葉の意味を考える前に、彼女は最後に静かに続ける。

「だからあなたも、逃げないでくださいませ」

その一言に、私は目を見開いた。

「え……?」

「自分なんて、と引いてしまうお顔をしていらっしゃるから」

見抜かれていた。
私がまだどこかで、自分はふさわしくないと怯えていることを。
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