エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
麗華は少しだけやわらかく笑った。

「わたくしはあなたが嫌いですわ」

ずきっと胸が痛む。
でも彼女は続けた。

「けれど、今のあなたなら認めてあげてもよろしいです」

思わず、ぽかんとしてしまう。

「もっと胸を張ってくださいな。カイルさまに選ばれていることを」

選ばれている。
その言葉が、胸の奥で何度も響く。

麗華はくるりと踵を返した。

「今夜はこれで失礼いたしますわ。これ以上いたら、わたくしまで惨めになりそうですもの」

その背中はまっすぐで、最後まで綺麗だった。

私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
風がそっと頬をなでる。
胸の中は苦しいのに、不思議と少しだけ軽かった。

「何言われた」

気づけば、鳳城くんが目の前に戻ってきていた。

「……内緒」

小さく答えると、鳳城くんが眉をひそめる。

「なんで」

「なんとなく」

本当は、まだうまく言葉にできないだけだ。
でも今は、そのかわりにちゃんと伝えたいことがひとつだけあった。

「鳳城くん」

「なに」

私は少しだけ勇気を出して、彼を見上げる。

「私、逃げない」

鳳城くんが一瞬だけ目を見開く。

「……急にどうした」

「ちゃんと鳳城くんの隣にいたいって、思ったの」

言った瞬間、胸が熱くなる。
恥ずかしい。
でも、もう目をそらしたくなかった。

鳳城くんはしばらく黙っていた。
それから、とても静かな声で言う。
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