エリート学園の最上級王子は、地味な私を離さない。
「記事?」

「鳳城グループのこと」

そう言った瞬間、鳳城くんの表情がほんの少しだけ変わった。
ああ、やっぱり。
この人にとっても軽い話じゃないんだ。

「それで?」

「それでって……」

うまく言えない。
苦しい。
でも、言わなきゃ。

「鳳城くん、やっぱりすごい人なんだなって思って」

「今さら」

「今さらだけど……今さらだから、苦しいの」

その言葉に、鳳城くんの目がわずかに揺れた。

私は視線を落としたまま続ける。

「将来のことも、家のことも、全部ちゃんと決まってる人なんだって思ったら……」

喉が詰まる。
でも止まれなかった。

「私なんかが、近くにいていいのかなって」

言い終わるころには、自分の声が少し震えていた。

しばらく沈黙が落ちる。
怒らせたかもしれない。
呆れられたかもしれない。

そう思ってぎゅっと目を伏せた、そのとき。

「……ほんと、同じことばっか考えるな」

低く、でも少しだけ困ったみたいな声だった。

そっと顔を上げると、鳳城くんが近づいてくる。

「おまえ、何回俺に言わせる気?」

「え……」

「家がどうとか、将来がどうとか、そんなので離れるなって前にも言った」

その通りだ。
なのに私はまた、同じところで立ち止まってしまった。

「でも今回は、もっと大きいことでしょ……?」

「大きいよ」

即答だった。

私は息をのむ。
けれど鳳城くんはそのまま続ける。

「面倒だし、うるさいし、勝手に決められそうになることも多い」

いつになくまっすぐな声。
飾らない、本当の声。
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