目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
無駄な装飾を削ぎ落とした真珠のネックレスが首筋の美しさを際立たせている。

かつての「気後れしていた総務部員」の面影はどこにもない。

そこにあったのは、静かな自信と凛とした品格を纏った、1人の洗練された女性の姿だった。

​香奈江が不快そうに眉をひそめ、真由へと歩み寄る。

​「……市川さん。相変わらず蓮の側にいらっしゃるのね。ですが、本日の主賓であるヴァンサン伯爵夫妻は、芸術と歴史への深い造詣をお持ちの方々ですの。実務のお話しかできない方がお相手をするのは、非礼にあたりますわ」

​香奈江の仕掛けた完璧な牽制に対し、真由は優雅に微笑むと、完璧な発音のフランス語で静かに応じた。

​「お気遣いありがとうございます、東堂様。伯爵夫妻が長年収集されている19世紀の風景画と、今回の次世代グリーンインフラ事業が目指す『自然と文明の共生』という理念の共通点について、ぜひ意見を交わしたいと考えておりました」

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