目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
香奈江の表情が凍りついた。

​真由は躊躇することなく伯爵夫妻のもとへと歩みを進めた。

流暢なフランス語と英語を織り交ぜながら、絵画の歴史的文脈とビジネスの未来像を完璧に融合させたプレゼンテーションを会話の中で展開し始めた。

​伯爵夫妻の目が感嘆に輝き、真由の言葉に深く頷き始める。

​現場の泥臭い実務を誰よりも知る真由だからこそ語れる「生きたロジック」と、血の滲むような努力で身につけた「完璧なプロトコル」。

その2つが組み合わさった瞬間、真由の存在感は、単なる格式で着飾った香奈江を遥かに凌駕していた。

​遠くからその光景を見つめる東堂香奈江の横に、シャンパングラスを手にした鷹司が静かに立ち並んだ。

「……理解できたかい、東堂」

​鷹司の声はどこまでも低く、静かで、品格に満ちていた。

冷たく突き放すのではなく、上質なベルベットのように落ち着いた響き。

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