目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
episode21ーー24時間の執念(泥臭いグローバル実務)
真由の戦いが始まった。

​三ツ橋商事の副社長室の壁に掲げられた世界時計は、東京、ロンドン、ドバイ、シンガポールの時刻を刻み続けている。

真由はパソコンの画面から1度も目を逸らさず、赤く充血した目に目薬を差した。

デスクの端には、冷めきったコーヒーのカップが幾つも転がっている。

​本来、真由の所属は「総務部」だ。

社内備品の管理、契約書の保管、役員たちのスケジュール調整――会社という巨大な組織が円滑に回るための「雑務」を泥臭くこなすのが、彼女の日常だった。

​だが、今の真由はただの総務部員ではない。

​「市川さん、北欧のグリーンファンドから条件面についての1次回答が入りました。ただし、政治的リスクの担保について追加のスキームを要求されています」

​社内チャットに次々と飛び込んでくる法務部や海外ファイナンスチームからの通知。

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