目立たない総務の私ですが、ハイスペック副社長がジレ甘です
真由はキーボードを叩く手を緩めることなく、受話器を肩と耳で挟みながら即座に指示を出す。
「MIGA(多国間投資保証機関)の政治リスク保険の特約条項、第14条を差し込んでください。中東現地政府との直接協定(ダイレクト・アグリーメント)の文面と連動させれば、カントリーリスクは完全に分散できます。英訳の修正案は、いま私が作成して送ります!」
「……市川さん、本当に総務部ですか? 弁護士でもそこまで即座に条文を引っ張り出せませんよ」
電話の向こうで法務の専門家が息を呑むのが分かった。真由はフッと自嘲気味に微笑む。
「総務部ですから。日々、社内のあらゆる部署のトラブルや不備の後始末を引き受けてきたんです。契約書の穴や現場の歪みを一番知っているのは、私たちですよ」
「MIGA(多国間投資保証機関)の政治リスク保険の特約条項、第14条を差し込んでください。中東現地政府との直接協定(ダイレクト・アグリーメント)の文面と連動させれば、カントリーリスクは完全に分散できます。英訳の修正案は、いま私が作成して送ります!」
「……市川さん、本当に総務部ですか? 弁護士でもそこまで即座に条文を引っ張り出せませんよ」
電話の向こうで法務の専門家が息を呑むのが分かった。真由はフッと自嘲気味に微笑む。
「総務部ですから。日々、社内のあらゆる部署のトラブルや不備の後始末を引き受けてきたんです。契約書の穴や現場の歪みを一番知っているのは、私たちですよ」