『サレ妻の日常謎解き録 〜浮気夫の嘘、すべて解明いたしました〜』

エピローグ:美しい断捨離

 その後の展開は、実に見事なものだった。

 青ざめた顔で言い訳をまくしたてる翔太と、泣きながら逃げ出そうとする莉子。

 しかし、玄関へ向かおうとした莉子は同僚たちに呼び止められ、翔太は課長から厳しい追及を受けた。

 私は騒ぎに加わらず、割れ物や料理を片づけながら、弁護士へ状況を知らせるメッセージを送った。

 翌週、会社による事情聴取が始まった。

 調査の結果、翔太には経費の不適切な申請も発覚し、昇進は即座に白紙へ戻された。莉子についても、勤務時間中の虚偽報告や社内規定違反が認定された。

 ほどなくして、翔太は遠方の物流倉庫へ、莉子は関連子会社へ異動を命じられた。

 華々しい昇進祝いになるはずだった夜が、二人にとって転落の始まりになったのだ。

 私はパーティーの翌朝一番で鍵業者を呼び、自宅のスマートロックと物理鍵をすべて交換した。

 翔太の服や靴、趣味のゴルフバッグに至るまで、彼の私物をダンボール箱へ容赦なく詰め込んでいく。

 最後の箱を閉じたあと、私は太い黒のマーカーで紙に文字を書いた。

『粗大ゴミ』

 その紙を箱へ貼り、翔太の実家へ着払いで送り届けた。

 もちろん、本当の粗大ゴミなら、自治体の規則に従って処分しなければならない。

 けれど、このゴミには一応、受け取り先がある。

 不倫に対する慰謝料三百万円と、翔太が勝手に使い込んでいた家計の補填分。

 さらに、莉子からの慰謝料百五十万円。

 金額や支払い方法については弁護士を介して協議し、翔太の給与口座から毎月回収する公正証書を作成した。

 莉子についても分割払いの合意書を交わし、支払いが滞った場合に備えた条項を盛り込んだ。

 感情だけで相手を責めても、失った時間やお金は戻ってこない。

 だから私は、最後まで数字と記録と証拠で片づけた。
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