想定外につき、対処不能
スーパーに入ると、部門ごとに店員が客寄せをしていた。彼女は引かれていたが、俺は絶えず目を光らせていた。特に鮮魚コーナーや精肉コーナーの店員は、作業着が汚れたままで彼女に近づこうとするから厄介だった。仕事だからと一旦は目を瞑ったが、妙に馴れ馴れしくて私的な感情が目に余った。
彼女は綺麗だし、可愛いから声を掛けて来るのは理解出来る。だが、それ以上の感情は論外だ、と俺は店員を他の客に向けるよう仕向けた。
「あちらの婦人が迷ってるようですよ」そう言って、俺は彼女の手を優しく引き、次の売り場に促した。
よし、買い物は順調だ。カゴには材料が揃っているし、後は会計を済ませるだけだ。しかし、人が多すぎて、結構な列が出来ている。そこで俺はレジを打つ店員の速度を見て、時間を計算した。何も起きなければ、5分程で順番が来るだろう。そう結論付けた時だった。
「ねぇ、木崎」彼女はこちらを見て、口角を上げた。
「何でしょうか」俺は周囲を見ながら応えた。
「楽しい?」その問いかけに、俺は彼女を見て、「とても」と返した。
当然だ。彼女は楽しそうな顔をしている。雰囲気を壊してはいけない。何より、彼女は笑うと素敵だ。いや、なぜだ。どうして、そこばかり目がつくんだ、俺は。
疲れが出たのか?そう考えると、午後も半ばを過ぎ、気を抜く時間帯に差し掛かっていた。それに想定した5分を過ぎている。
上手く事が運ばないのは、世の中の不条理だと思った。
そこで軽く息を吐くと、彼女が俺の腕の辺りに、頭を寄せてきた。その気配に俺は黙って佇み、列が進むのを見ていた。すると、彼女が「ねぇ」と呼び掛けてきた。
「何ですか?」そう言って、彼女のほうに視線を落とすと、彼女は俺を見上げ、口角を上げながら言った。
「木崎の家行ったら、探検してもいい?」
「探検、ですか」
唐突な提案に俺は直ぐに部屋の中を思い出した。掃除は完璧、見られて困る物など無い。強いて言うなら、浴室の水回りを綺麗にしていない事だ。彼女が立ち入る前に、拭き取りをすれば問題無い。そう考えて、口を開こうとした。
「ダメ?」彼女は上目遣いで、こちらを見てきた。
俺は直ぐに視線を逸らして、一歩進んでから、応えた。
「構いません」
俺は今、何を思った……?
彼女は綺麗だし、可愛いから声を掛けて来るのは理解出来る。だが、それ以上の感情は論外だ、と俺は店員を他の客に向けるよう仕向けた。
「あちらの婦人が迷ってるようですよ」そう言って、俺は彼女の手を優しく引き、次の売り場に促した。
よし、買い物は順調だ。カゴには材料が揃っているし、後は会計を済ませるだけだ。しかし、人が多すぎて、結構な列が出来ている。そこで俺はレジを打つ店員の速度を見て、時間を計算した。何も起きなければ、5分程で順番が来るだろう。そう結論付けた時だった。
「ねぇ、木崎」彼女はこちらを見て、口角を上げた。
「何でしょうか」俺は周囲を見ながら応えた。
「楽しい?」その問いかけに、俺は彼女を見て、「とても」と返した。
当然だ。彼女は楽しそうな顔をしている。雰囲気を壊してはいけない。何より、彼女は笑うと素敵だ。いや、なぜだ。どうして、そこばかり目がつくんだ、俺は。
疲れが出たのか?そう考えると、午後も半ばを過ぎ、気を抜く時間帯に差し掛かっていた。それに想定した5分を過ぎている。
上手く事が運ばないのは、世の中の不条理だと思った。
そこで軽く息を吐くと、彼女が俺の腕の辺りに、頭を寄せてきた。その気配に俺は黙って佇み、列が進むのを見ていた。すると、彼女が「ねぇ」と呼び掛けてきた。
「何ですか?」そう言って、彼女のほうに視線を落とすと、彼女は俺を見上げ、口角を上げながら言った。
「木崎の家行ったら、探検してもいい?」
「探検、ですか」
唐突な提案に俺は直ぐに部屋の中を思い出した。掃除は完璧、見られて困る物など無い。強いて言うなら、浴室の水回りを綺麗にしていない事だ。彼女が立ち入る前に、拭き取りをすれば問題無い。そう考えて、口を開こうとした。
「ダメ?」彼女は上目遣いで、こちらを見てきた。
俺は直ぐに視線を逸らして、一歩進んでから、応えた。
「構いません」
俺は今、何を思った……?