想定外につき、対処不能
漸く目的地に着くと、彼女が先に助手席から抜け出した。俺も後を追うように運転席から出て、鍵を掛け、ドアを確認したところで、彼女が「木崎」と軽く呼びかけて来た。その瞬間、デジカメを向けられていた。
それを止める間も無く、彼女はこちらを見て、微笑んでいた。俺はその顔を見るよりも、手にした物について尋ねた。
「また、新しい趣味ですか」
「ううん。健ちゃんが貸してくれたの」彼女は飄々と言った。
あの髭しか目立たない中年男か……。余計な物を押し付けて、どういうつもりだ?後でさり気なく忠告しておこう。今は彼女の行動優先だ。
「そうですか。壊したらいけないので、僕が預かりましょう」俺が彼女に手を差し出すと、彼女はデジカメをポケットに入れ、その手を重ねて言った。
「お腹空いた。早く行こ」
「かしこまりました」
いや、なぜだ。どうして彼女は手を繋ぐことに拘る。カフェまでの距離は短いし、そこに行くまで足元には何も落ちていない。だが、果たしてそうなのか?良く見ろ、俺。
そのまま俺は注意深く足元や前を確認しながら、店に向かって行った。怪しい人影は無し、日曜の割には客入りも少ないようだ。付近を行き交う人も、犬の散歩や恋人同士が目立っている。安心するには足りなさすぎるが、妥協点としては悪くない。
俺は海沿いが見渡せる席を選び、椅子を引いて彼女を促した。
「ありがと」
「どういたしまして」
当然の事をしただけだ、と俺がメニューに手を伸ばすと、先に彼女が指を掛けて、目の前に広げた。やはり速すぎる……。いや、そこじゃない。もう、彼女の行動を問題視するな。彼女の好みを選別しよう。
メニューに並んでいるのは、お勧めの日替わりランチに冷製パスタなどがあった。ここの店は季節ごとの素材を使い、どれも評判が良いが、日替わりランチが特に評価が高い。彼女に好き嫌いは無いし、彼女のアレルギーに該当する食材も入ってなさそうだ。これが一番賢い選択だろう。
「何にする?」彼女は俺のほうを見て、軽く笑いながら尋ねてきた。
「僕はこちらのAセットに致します」そう言って、俺は視線を少し落とし、直ぐに戻した。
「じゃあ、同じのにしようかな……」彼女は言いながら、辺りを見回して、近くに居た店員に呼び掛けた。
そして、彼女は注文を終えると、テーブルに肘をつき、頬杖をついて、こちらを見てきた。俺は思わず目を逸らしたが、行く先を失い、彼女の手の辺りを見ていた。
すると、彼女はおもむろに口を開いた。
「ねぇ、さっきから、女の子が木崎のほうばかり見てる」
その言葉に、俺は辺りを見回したが、何を言われているのか理解出来なかった。
それを止める間も無く、彼女はこちらを見て、微笑んでいた。俺はその顔を見るよりも、手にした物について尋ねた。
「また、新しい趣味ですか」
「ううん。健ちゃんが貸してくれたの」彼女は飄々と言った。
あの髭しか目立たない中年男か……。余計な物を押し付けて、どういうつもりだ?後でさり気なく忠告しておこう。今は彼女の行動優先だ。
「そうですか。壊したらいけないので、僕が預かりましょう」俺が彼女に手を差し出すと、彼女はデジカメをポケットに入れ、その手を重ねて言った。
「お腹空いた。早く行こ」
「かしこまりました」
いや、なぜだ。どうして彼女は手を繋ぐことに拘る。カフェまでの距離は短いし、そこに行くまで足元には何も落ちていない。だが、果たしてそうなのか?良く見ろ、俺。
そのまま俺は注意深く足元や前を確認しながら、店に向かって行った。怪しい人影は無し、日曜の割には客入りも少ないようだ。付近を行き交う人も、犬の散歩や恋人同士が目立っている。安心するには足りなさすぎるが、妥協点としては悪くない。
俺は海沿いが見渡せる席を選び、椅子を引いて彼女を促した。
「ありがと」
「どういたしまして」
当然の事をしただけだ、と俺がメニューに手を伸ばすと、先に彼女が指を掛けて、目の前に広げた。やはり速すぎる……。いや、そこじゃない。もう、彼女の行動を問題視するな。彼女の好みを選別しよう。
メニューに並んでいるのは、お勧めの日替わりランチに冷製パスタなどがあった。ここの店は季節ごとの素材を使い、どれも評判が良いが、日替わりランチが特に評価が高い。彼女に好き嫌いは無いし、彼女のアレルギーに該当する食材も入ってなさそうだ。これが一番賢い選択だろう。
「何にする?」彼女は俺のほうを見て、軽く笑いながら尋ねてきた。
「僕はこちらのAセットに致します」そう言って、俺は視線を少し落とし、直ぐに戻した。
「じゃあ、同じのにしようかな……」彼女は言いながら、辺りを見回して、近くに居た店員に呼び掛けた。
そして、彼女は注文を終えると、テーブルに肘をつき、頬杖をついて、こちらを見てきた。俺は思わず目を逸らしたが、行く先を失い、彼女の手の辺りを見ていた。
すると、彼女はおもむろに口を開いた。
「ねぇ、さっきから、女の子が木崎のほうばかり見てる」
その言葉に、俺は辺りを見回したが、何を言われているのか理解出来なかった。