豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
 御堂社長は一瞬だけ私のほうに視線を寄越した。
 私は「もう大丈夫です」と小さくうなずき、そっとうしろへ下がる。

「無理はしないように」
「はい。ありがとうございます」

 ふたりが並んで歩くうしろ姿を、私はしばらく見つめていた。
 誰もが目を奪われるような美男美女で、お似合いのふたりだ。
 胸の奥が小さく音を立てて軋んだ気がしたけれど、私はそれに気づかないふりをして、グラスに残った水を飲み干した。
 
「初瀬さん、こっち!」

 しばらくしたあと友野さんと合流し、私はあわてて仕事の顔に戻った。

「向こうの客室、すごいらしいよ。見に行こう」
「わかりました」

 客室はスタンダードからスイートまで、いくつかのタイプを見せてもらった。
 バルコニー付きの部屋からは、抜けるような海の青が一望できる。
 ベッドリネンの質感、アメニティの選定、細部に至るまで、豪華客船ノーブル・ヴィクトリア号のこだわりが感じられた。
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