豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
「どうかした?」

 真うしろから声が聞こえ、振り向くとそこにはなぜか御堂社長の姿があった。
 どうやら、私たちがなにか困っているとすぐに気づいて声をかけたようだ。

「あの、御堂社長、少しよろしいでしょうか」
 
 話をするなら一般の社員でよかったのだけれど、この状況になったら、なにがあったのか彼に伝えざるをえない。

「船内を見学していて、気になったことがあるんです」
「聞こう」

 真剣な表情に変わった彼に、私は事前に渡された紙のマップを広げて見せた。

「デッキの名称ですが、実際の表示とマップとでは微妙に違っているので、お客様が迷ってしまう可能性があるんじゃないかと話していました。船内は広いですし、わかりやすい名称で統一したほうがいいと思います」

 言いながら、出過ぎたまねをしただろうかと不安がよぎる。
 御堂海運グループの、しかもトップに君臨する人に、いきなり指摘するなんて。
 しかし彼は不躾だと不機嫌になるような様子もなく、眉根を寄せながらマップを覗き込んでいた。
 友野さんは、こんな展開になるなんて予想だにしていなくて、目を丸くするばかりだ。

「……たしかに、乗客目線での確認ができていなかったかもしれない」

 彼はポツリとつぶやくように言い、小さくうなずいた。

「差し出がましいですよね。すみません」
「いや。逆だ」

 御堂社長はマップに落としていた視線を上げると、真っすぐに私を見た。
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