豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
第一章 豪華客船での再会
「……うわぁ、大きい」

 目の前にそびえる白い船体を見上げて、私、初瀬(はつせ)沙月(さつき)は思わず息をのんだ。
 これまで何隻もの客船を見てきたけれど、こんなふうに言葉を失うのは初めてだった。
 思わず仕事だということも忘れて、しばらくその場に立ち尽くしてしまう。

「これが噂の『ノーブル・ヴィクトリア号』……写真で見るのと迫力が全然違うわね、初瀬さん」

 隣で同じように顔を上げていた先輩社員の友野(ともの)さんが、感嘆の声を漏らす。

 創業百二十年を誇る日本有数の海運コングロマリットである『御堂海運グループ』は、造船・物流・高級クルーズ客船事業など、幅広く手掛けている。
 ノーブル・ヴィクトリア号は、御堂海運グループがまもなく就航を予定している大型の豪華客船だ。
 私たちはグループ傘下の旅行会社である株式会社レガリアトラベルの社員として、実際に体験するためにノーブル・ヴィクトリア号の日帰り試乗体験に招待されていた。

「傘下の関連会社だけ乗船するって聞いてたけど、すごい人数が集まってますね」
「たしかに。注目度高いもん。誰でも一度は乗ってみたいって思う船に乗れるんだから、私たちちょっぴり役得かも」

 手で口もとを覆い隠しながら、友野さんがおどけるようにフフッと笑った。
 タラップの下には、招待客らしき人々の姿がちらほら見えた。プレス関係者だろうか、大きなカメラを構えた人たちの姿もある。
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