豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
 造船や物流だけでなく、御堂海運グループが総力を挙げて新型の大型客船を就航するというニュースは、旅行業界でもここ数カ月ずっと話題になっていた。
 その客船の航海前の試乗クルーズに、自分が呼ばれることになったとわかったときは、飛び上がるほどうれしかった。
 取材とはいえ、一般客よりも早く体験できるのは、友野さんの言うとおり〝役得〟だ。

「そういえば初瀬さんのお父さんって、造船会社の社長さんだったよね。グループ傘下の。すごいよね」

 友野さんにそう言われて、私は苦笑いを返す。

「うちは下請けの、しかも地方の小さな造船会社ですよ。全然たいしたことないです」
「でも、御堂社長と会ったことあるんだよね? 前にそう聞いた気がする」
「……はい。父の会社へ何度も視察に来られていましたので。……あのころはまだ、社長の職には就いていらっしゃらなかったですけど」
 
 御堂海運グループ。その名前を聞くたびに、思い出す顔がある。
 六年前、私がまだ大学生だったころに知り合ったあの人のことを。
 端整な顔立ちは今も変わらず、きっと精悍さが増しているはず——。
 
「冷徹で仕事に厳しいって聞くけど、本当?」

 友野さんが声をひそめて尋ねてきた。どうやら彼は、グループ企業内でそう言われているらしい。
 私は首をひねってしばし考え、苦笑いを浮かべる。
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