豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
 吹き抜けになったエントランスホールは、三層分の高さがあるとは聞いていたが、ここまで開放感があるとは思ってもみなかった。
 見上げると、豪奢で巨大なシャンデリアが天井から下がっていて、キラキラとした光を放っている。
 磨き抜かれた大理石の床を歩いていると、まるで西洋の王宮へ足を踏み入れたような感覚に陥った。

 中央には緩やかならせんを描く階段。手すりの金具ひとつひとつにまで、職人の巧みな技が感じられる仕様になっている。
 壁面には船をモチーフにしたステンドグラスがはめ込まれ、差し込む光が床に淡い青や金色の模様を落としていた。

「圧巻ですね。ここまでゴージャスだとは……」

 思わず感嘆の声をあげた。これまで仕事で、いくつものクルーズ船の中を見てきた。
 だけどこのノーブル・ヴィクトリア号は、豪華さの中にも洗練された品がある。

 この空間を、どんな言葉でお客様に伝えよう。
 首から提げたスマホで写真を撮りながら、手にしていた資料に宣伝になるポイントを書き込んでいく。

「初瀬さん、あちらでウェルカムドリンクをいただけるみたい。行きましょう」

 友野さんが声をはずませて小さく手招きをする。
 彼女に促されて船の奥へ視線を移したそのときだった。階段の踊り場のあたりで、数人のスタッフに囲まれるようにして立っている人物の姿が目に入った。
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