豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
「……あ」

 高級そうな黒のスリーピーススーツに身を包んだ、肩幅の広い長身の男性の顔を見て、自然と声が漏れた。
 意志の強そうな瞳、高い鼻梁、凛々しい眉……誰もが見惚れるほどのイケメンだ。
 そんな彼が、涼やかな表情でスタッフと言葉を交わしている。その佇まいだけで、周囲の空気が違って見えた。
 面影はそのままだけれど、あのころよりずっと大人になった横顔。
 ――本当にまた会えた。そう実感して、うれしさがこみ上げてくる。

「友野さん、先にご挨拶にうかがったほうがいいですよね」

 ウェルカムドリンクに手を伸ばそうとしていた友野さんを引き留め、その人物の方向をそっと指し示す。
 すると彼女はすぐにうなずいて顔を一気に引き締めた。

 輝くようなオーラを放っているその人物は、御堂海運グループのトップに立っている御堂潤一社長。
 ほかの招待客も挨拶をしようと列をなしていて、私たちも続こうとしていたら、不意に彼と目が合ってしまった。
 その瞬間、彼の目がわずかに見開かれ、スタッフに向けていた相づちが一拍遅れたのがわかった。
 頭は冷静なのに、心臓が自動的にドキンと大きく音を立てる。
 彼がこの試乗クルーズに乗ることは知っていたが、直接顔を見て挨拶できるかどうかは定かではなかった。
 だけど、早々に会話を交わす機会が巡ってきたため、急に緊張が襲ってくる。
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