豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
「レガリアトラベルの初瀬と申します。ノーブル・ヴィクトリア号のご完成、誠におめでとうございます」

 先輩の友野さんが挨拶をしたあと、私も同じように名刺を差し出しながら頭を下げた。
 至近距離で見る彼は、昔と変わらず完璧な男性で、緊張から笑顔が引きつりそうになる。
 そんな中、彼がわずかに息をのんだのがわかった。

「君……」

 先ほどまで彼が周りに向けてたたえていた社交的な笑みは、いつの間にか消えていた。
 私が渡した名刺をたしかめるまでもないとでも言うように、真っすぐな視線を向けられる。

「御堂社長、本日はこのような試乗へご招待いただき、ありがとうございます」
「レガリアトラベル……うちの傘下で働いてるのか」

 それは問いかけというより、確認するような口調だった。

「私のこと、覚えていてくださったんですね」
「当然だ。忘れるわけがない。……久しぶりだな」

 冷徹だと噂されている彼だが、昔とちっとも変わっていない。
 仕草も、耳心地のいい低音の声も、なにもかも。
 彼の表情に、単なる懐かしさとは違う感情がのせられている気がして、思わず頬が熱くなる。
 そんな私たちの様子を見ていた友野さんが、気を利かせてそっと席をはずしてくれた。
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