豪華客船で再会した冷徹海運王と、もう一度恋が始まりました
「大丈夫か?」

 近くで彼の声がして、膝から力が抜けそうになった私の身体を、彼がしっかりと支えてくれていた。
 彼の腕の中にいるのだと気づいた瞬間、目のやり場に困ってしまう。
 爽やかなフレグランスの香りが鼻先をかすめ、顔を上げると、彼の整った顔立ちが至近距離にあって、息が止まりそうになった。

「す、すみません。昨日寝不足だったからかも。……大丈夫です」

 実は、昨夜は一睡もしていない。豪華客船クルーズのプランを考えていたのもあるけれど、正直に言えば、この船に乗れることが楽しみすぎて……いや、彼に会えるかもしれないと思うと眠れなかったのだ。
 連日の残業も重なって、きっと身体が悲鳴をあげたのだろう。

「顔色が悪い。少し休んだほうがいい」

 優しい声音でそう言われ、私は素直にうなずいた。
 支えられた腕の力強さと距離の近さに、自分の頬が熱くなるのを感じる。
 だけど反対に安心感もあって、そんな自分にとまどいながら、そっと視線を伏せた。

「ご迷惑をおかけして……」
「気にしなくていい。それより座ろう」

 私は促されるまま、大きな観葉植物の陰にひっそりと置かれたアンティーク調のベンチに腰を下ろす。
 彼が人目につきにくいホールの隅の場所を選んでくれたのだと、少し遅れて気がついた。

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