元カレ弁護士の恋事情
「あ、あの……。資料を……」
「ああ……」

 お互いの手が、じっとりと汗ばんでいく。
 どうしたらいいか、わからない。
 視線を上げれば、すぐに目が合ってしまう。

(近い……)

 少し身体を動かせば、抱きしめられてしまいそうな距離。
 事件のことで頭がいっぱいだったのに、意識した途端、心臓が大きく跳ねる。
 さっきとは別の意味で、緊張が走った。
 久我さんの顔が近づいてくる。もしかして、これは……。
 口づけられる……!? と思った瞬間、声を上げていた。
 
「ちょ……ちょっとストーップ!」

 私は慌てて身体を引いた。
 
「ちょっと近すぎる! 久我さんって、元カノをそんな風に扱うタイプなんですか?」

 思わず口にしてしまった言葉に、久我さんが目を丸くする。

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