元カレ弁護士の恋事情
「ちなみに、虚偽の説明をすれば、後々ご自身の立場を悪くすることになりますよ」
「み……見たよ! たしかに見せてもらった! でも、そんな昔に描いたやつなんて、ボツになったようなものだろ!? だから……」
「……ボツ? 曽根崎さん、あなたは東都ダイニングの今回の新商品のパッケージを見たんですよね? だから盗作だとそちらから言ってきた」
「そうだよ! だから、そんな今さら昔のデザインを引っ張り出してくるなんて……思わないじゃないか! ほ、本人だって言ってたんだ! 『いつか、このデザインが日の目を見たら』って! だから、俺が……!」

 まるで、「俺がやってやった」と言わんばかりの、恩着せがましい発言。私の言葉を都合よく解釈し、勝手にデザインを持ち出したことまで正当化しようとしている。あまりにも身勝手な言い訳に、久我さんも私も大きくため息をつく。相手方の弁護士も、少々呆れたような顔だ。
 
「曽根崎さんの言い分はわかりました」

 理解も納得もできないけれど。
 私が言うと、何を勘違いしたのか曽根崎さんはパッと表情を明るくした。

「え、じゃあ……」
「でも私、『ボツにした』なんて一言も言ってないし」

 思わず、相手への敬意も忘れて素が出てしまった。
 つい先日までスケッチブックの存在は忘れていたけど、その中のデザインが、私の中から消えたわけではない。盗作と言われたこともショックだった。でもそれ以上に、私のデザインを我が物のように扱われたことが許せなくて。込み上げる感情をどうにか抑えようとぎゅっと手を握りしめたけれど、指先の震えは止まらなかった。
 
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