どうして、あの子ばかり目で追ってしまうのだろう?
あとがき
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
実はこの物語、私の実話をベースに描いたものです。
あのとき、新人戦のコートの向こう側にいた他校の佐保先輩に一目惚れして、心友に「最初は推し活みたいなものだったけど、いつの間にか恋だったの」って相談したこと。あの日の胸のざわめきや、帰り道の電車の空気感は、今でも鮮明に覚えています。
実際、佐保先輩には3年間ほど片思いしておりました。
(「さほ」という名前を知っていたので、勝手に『工藤佐保』とつけさせましたので、本名ではありません。)
物語の最後では、二人の視線が交わって素敵な雰囲気になりましたが……現実の結末は、少しだけ違います。
相手の先輩は、私のことなんて全く知りません。名前も、顔も、きっと覚えられていなかったと思います。声をかけることも、気持ちを伝えることもできないまま、ただ遠くから目で追って、心の中で「好きだなぁ」って想うだけの、切なくて甘酸っぱい片思いでした。
だけど、あのとき本気で誰かを好きになって、自分の気持ちに戸惑ったり、心友に背中を押してもらったりした経験は、私にとってかけがえのない宝物です。
届かなくても、名前を知られなくても、あのとき一番大きな声で誰かを応援していた私の青春は、間違いなくあの体育館の片隅にありました。
この物語が、同じように誰かをこっそり想ったことのあるあなたの胸に、少しでも温かく届いたなら嬉しいです。


