嘘つきな3人
伊久間くんは、ベッドの脇の床に腰を下ろした。私はベッドの上に座り、壁に背中を預ける。
「大丈夫だよ」
それ以上は何も言わない。手を伸ばせば届く距離にいるのに、触れてもこない。
身体を重ねる夜もあれば、ただ隣にいてもらうだけの夜もある。
その違いを、私たちは一度も決めたことがない。
「ほら、横になりな」
「……うん」
「ここにいるから」
当たり前みたいに言われて、胸の奥が少し緩む。
「眠くない?」
「少しだけね」
「じゃあ帰った方が――」
「帰ってほしい?」
「……帰ってほしくない」
そう返すと、伊久間くんはベッドの縁に背中を預けた。
無理に励まさない。夢の内容も聞かない。眠れと言わない。そんなふうにそばにいてくれることを、私は当たり前みたいに受け取っていた。