嘘つきな3人

◇

初めて『起きてる?』と送ったのは、18歳の春だった。この部屋へ引っ越してきて、まだそれほど経っていないころ。

何度も目を閉じても眠れなくて、壁の向こうに伊久間くんがいることを思い出した。
迷ってから、短い言葉を送った。


『起きてる?』


すぐに返信が来た。


『起きてる』


少しして玄関を開けると、伊久間くんが扉の前に立っていた。

「どうしたの?」

「……眠れないの」

「そっか」

それ以上は何も聞かなかった。

私が身体をずらすと、伊久間くんはその隙間から部屋へ入った。
ベッドのそばの床に座って、私が眠るまでずっとそこにいてくれた。

あの夜から、眠れない夜に送る言葉はずっと同じだ。


『起きてる?』


その一言を送れば、私は一人じゃなくなった。
< 25 / 36 >

この作品をシェア

pagetop