嘘つきな3人
◇
初めて『起きてる?』と送ったのは、18歳の春だった。この部屋へ引っ越してきて、まだそれほど経っていないころ。
何度も目を閉じても眠れなくて、壁の向こうに伊久間くんがいることを思い出した。
迷ってから、短い言葉を送った。
『起きてる?』
すぐに返信が来た。
『起きてる』
少しして玄関を開けると、伊久間くんが扉の前に立っていた。
「どうしたの?」
「……眠れないの」
「そっか」
それ以上は何も聞かなかった。
私が身体をずらすと、伊久間くんはその隙間から部屋へ入った。
ベッドのそばの床に座って、私が眠るまでずっとそこにいてくれた。
あの夜から、眠れない夜に送る言葉はずっと同じだ。
『起きてる?』
その一言を送れば、私は一人じゃなくなった。