嘘つきな3人
◇
ベッドの脇に伊久間くんがいる。あのころと、ほとんど変わらない。
私はゆっくり身体を横たえて、布団を胸元まで引き上げた。
「伊久間くん、いつも起きてるね」
深夜でも、明け方でも。私がこの言葉を送ったとき、返事が来なかったことは一度もない。
伊久間くんは少しだけ笑った。
「夜更かし得意だから」
「身体に悪いよ」
「紅ちゃんに言われたくないなあ」
「私は好きで起きてるわけじゃないもん」
「知ってるよ」
部屋の暗さに慣れてくると、床に座る伊久間くんの横顔がぼんやり見える。
「……まだいてくれる?」
「いるよ」
それを聞いて目を閉じると、さっきまで胸の奥に残っていた嫌な感じが、いつの間にか薄くなっていた。眠れるかもしれない。そう思えるだけで、身体から少しずつ力が抜けていく。
「おやすみ、紅ちゃん」
すぐ近くで聞こえた声に、安心して息を吐いた。
眠れない夜。一人では朝まで長すぎる夜。そんなときでも、伊久間くんはいつも起きている。
私はずっと、そう思っていた。