嘘つきな3人
席に着くと、久我さんが人数分のメニューを置いた。表紙には、入口と同じ紫のクロッカス。
ページを開くと、ナポリタンやサンドイッチ、トースト。喫茶店らしいメニューが並んでいる。
「紅ちゃん、ナポリタンでしょ」
隣から当然みたいに言われて、メニューから顔を上げた。
「……まだ決めてないけど」
「でもナポリタン選ぶでしょ」
「……たぶん」
「ほら」
勝ち誇った顔をされて、少し腹が立つ。けれど、ナポリタンの文字から目が離れない。結局、ナポリタンを注文した。
しばらくして運ばれてきたナポリタンは、トマトとバターの甘い匂いがした。
「……おいしい」
思わず声に出すと、伊久間くんが笑った。私はもう一口、フォークに巻き取った。