嘘つきな3人
「今日、外仕事?」
「うん、午前中から出るよ。たぶん夕方まで戻んない。紅ちゃん、寂しい?」
「全然」
「即答やめて」
笑いながら、伊久間くんが私の持っていたコンビニのレジ袋を取った。
「自分で持てるよ」
「知ってる」
昔からそうだ。私ができることでも、伊久間くんは当たり前みたいに手を貸してくれる。いつの間にか私は、それを断るより、任せることに慣れてしまった。
「紅ちゃん、昼もちゃんと食べてね」
「子どもじゃないんだけど……」
「知ってます」
それ以上、何も言えなくなる。
伊久間くんは、私が自分のことを後回しにするのを知っている。私も、伊久間くんがそれを見逃さないことを知っている。
やがて、事務所の入るビルが見えてくる。
いつもの朝。いつもの道。隣には、いつもの人。