砂糖漬けの檻

I 暗闇の誕生

「じゃあさよならー、気を付けて帰ってねー」

「ばいばーい」


中学3年生の冬、初雪が降る放課後。

私、芳川柚は卒業式のピアノ伴奏に選ばれたため、一人音楽室に残ることにした。

緊張するから、体を慣らしておかないとだし……。


「あっ」

私以外にも、人、いたんだ。

「孤高の天才」と呼ばれている柊蓮。

恥ずかしがり屋な私と同じでしゃべるのは少ない。

でも、やっぱり、別格すぎる。


「やっほー。芳川さん」

えっ!

ま、まさか、柊くんから私なんかに話しかけてもらえるんだっ……。緊張、する。

「ねえ……、柚」

いつもと雰囲気が違う?いや、普通か?


「これ、誕生日プレゼント。ハンカチだよ。香水付けといたから、匂い嗅いでみて?」

言われた通りに嗅いでみる。

ん……、ね、むい……。
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