恋は買収できません!~厄介な幼馴染CEOの強引すぎる溺愛~

⑫

そうして、会社では優しい原田さんに気遣ってもらって癒やされ、家では蒼真に振り回されて気力と体力をすり減らすという生活を送りながら、プロジェクトを進めること3か月。
ついに、コンペ当日を迎えた。

私は、蒼真と原田さんと共に、蒼真の車で会場へ向かっている。原田さんは助手席、私と蒼真は後部座席だ。
窓の外を流れていくガラス張りのビル群は、夕日を映して橙色に染まっていた。私たちの出番は17時からだ。

「はぁ……なんか緊張してきた」
「別にお前がプレゼンするわけじゃないだろ」
「そ、そりゃそうだけど」

プレゼンには会社代表の蒼真と、システム開発のリーダーである原田さんが立つ。私は利用者目線で試作版の検証に携わった担当者として、資料の配布と質疑応答の補助をすることになっている。
とはいえ、私でなければ務まらない役割ではない。なぜわざわざ連れていくのかと尋ねた結果、返ってきた答えがこれだ。

「いいからお前はおとなしく、俺のプレゼンに見惚れてろ」

つまり、業務上の理由も一応あるものの、だいぶ私情が入っている。
助手席の原田さんがこちらを振り返り、呆れたように口を開いた。

「ところで神崎、かっこつけて失敗するなよ」
「あ? 俺を誰だと思ってる」

蒼真は、振り返った原田さんの額へ人差し指を突きつけ、ぐりぐりとドリルのように動かす。原田さんは降参だと示すように、両手を上げた。

「あー、はいはい。余計なこと言ったな、悪かった」
「フン」

蒼真は不満そうに腕を組み、シートに背中を預ける。私と原田さんは、アイコンタクトで「やれやれ」と会話した。
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