恋は買収できません!~厄介な幼馴染CEOの強引すぎる溺愛~
⑭
「どうだ。惚れ直したろ」
3人で通信会社のビルを出るなり、蒼真が顔を覗き込んでくる。ちょっとだけドキッとしたけれど、それを素直に口にするのはためらわれて、つい憎まれ口が出てくる。
「その一言がなければ、見直してたかもね」
「はは。だってさ、神崎」
「うるさい。俺はわかってるぞ、これは照れ隠しだってな」
(っ……普段なら、なに馬鹿なこと言ってるのってツッコむところだけど)
大手企業の役員や事業責任者たちを前に堂々と振る舞っていた彼は、悔しいけれど少しかっこよかった。
(でも、それだけじゃない)
私が何気なくこぼした愚痴を覚えていて、その悩みを解決するために、本当にひとつの事業を立ち上げた。しかも、私ひとりを助けて満足するのではなく、同じように困っている人たちのもとへ届けようとしている。
(蒼真って、私が思ってたよりずっと……かっこいいじゃん)
幼馴染としても、同じ会社のCEOとしても、こいつのことはよく知っているつもりだった。けれど今日、審査員たちを惹きつけながら未来を語る蒼真は、まるで初めて見る男のようで――胸が妙に落ち着かない。その気持ちの正体を考えるより先に、背後から甘い声が聞こえた。
「あっ、いたいた。神崎さ~ん」
華やかな美人が駆け寄ってきて、蒼真に声をかけた。蒼真はすぐさま人当たりのいい笑みを顔に張り付ける。
「あー、三条さん。お待たせしてすみません。今日はわざわざありがとうございます」
「いいえ。こちらこそ、お声がけありがとうございます。じゃあ、さっそく行きましょ」
女性は私と原田さんに会釈し、蒼真と共に近くのタクシーへ向かった。乗り込む直前、彼女が蒼真の腕へ親しげに手を添えたように見えた。
「……え、何あれ」
「あれっ、水野さん聞いてない? 神崎、コンペの後は前から親交のある社長と会食するって言ってたんだ。女性だったんだな」
「そ、そうなんですね。別に、私には関係ないですけど」
(私に散々しつこく付きまとっておいて、何よあいつ。私が原田さんと話してるだけで割り込んでくるくせに、相手が社長とはいえ、自分は女の人とふたりきりでごはんに行くわけ? しかもあの距離、何? 近すぎじゃない?)
胸の中に湧いた苛立ちを振り払うように、ぶんぶんと首を横に振る。
(……いや、だから私には関係ないってば!)
「水野さん? どうかした?」
「いえ、なんでもありません」
(あー、くだらない。なんであいつのことでこんなイライラしなきゃいけないんだろ)
すると、遠慮がちな声が横から聞こえた。
「あのー……おふたりとも、お帰りはどうしましょう」
話しかけてきたのは、ここへ連れてきてくれた蒼真の車の運転手さんだ。
「神崎様からおふたりをお送りするよう言われております。水野様はマンションまでお送りいたしますが、原田様はどうしましょう。ご自宅まででよろしいですか? それとも駅までにいたしましょうか」
私は、原田さんに向き直って言った。
「これからふたりでお疲れ様会しませんか?」
3人で通信会社のビルを出るなり、蒼真が顔を覗き込んでくる。ちょっとだけドキッとしたけれど、それを素直に口にするのはためらわれて、つい憎まれ口が出てくる。
「その一言がなければ、見直してたかもね」
「はは。だってさ、神崎」
「うるさい。俺はわかってるぞ、これは照れ隠しだってな」
(っ……普段なら、なに馬鹿なこと言ってるのってツッコむところだけど)
大手企業の役員や事業責任者たちを前に堂々と振る舞っていた彼は、悔しいけれど少しかっこよかった。
(でも、それだけじゃない)
私が何気なくこぼした愚痴を覚えていて、その悩みを解決するために、本当にひとつの事業を立ち上げた。しかも、私ひとりを助けて満足するのではなく、同じように困っている人たちのもとへ届けようとしている。
(蒼真って、私が思ってたよりずっと……かっこいいじゃん)
幼馴染としても、同じ会社のCEOとしても、こいつのことはよく知っているつもりだった。けれど今日、審査員たちを惹きつけながら未来を語る蒼真は、まるで初めて見る男のようで――胸が妙に落ち着かない。その気持ちの正体を考えるより先に、背後から甘い声が聞こえた。
「あっ、いたいた。神崎さ~ん」
華やかな美人が駆け寄ってきて、蒼真に声をかけた。蒼真はすぐさま人当たりのいい笑みを顔に張り付ける。
「あー、三条さん。お待たせしてすみません。今日はわざわざありがとうございます」
「いいえ。こちらこそ、お声がけありがとうございます。じゃあ、さっそく行きましょ」
女性は私と原田さんに会釈し、蒼真と共に近くのタクシーへ向かった。乗り込む直前、彼女が蒼真の腕へ親しげに手を添えたように見えた。
「……え、何あれ」
「あれっ、水野さん聞いてない? 神崎、コンペの後は前から親交のある社長と会食するって言ってたんだ。女性だったんだな」
「そ、そうなんですね。別に、私には関係ないですけど」
(私に散々しつこく付きまとっておいて、何よあいつ。私が原田さんと話してるだけで割り込んでくるくせに、相手が社長とはいえ、自分は女の人とふたりきりでごはんに行くわけ? しかもあの距離、何? 近すぎじゃない?)
胸の中に湧いた苛立ちを振り払うように、ぶんぶんと首を横に振る。
(……いや、だから私には関係ないってば!)
「水野さん? どうかした?」
「いえ、なんでもありません」
(あー、くだらない。なんであいつのことでこんなイライラしなきゃいけないんだろ)
すると、遠慮がちな声が横から聞こえた。
「あのー……おふたりとも、お帰りはどうしましょう」
話しかけてきたのは、ここへ連れてきてくれた蒼真の車の運転手さんだ。
「神崎様からおふたりをお送りするよう言われております。水野様はマンションまでお送りいたしますが、原田様はどうしましょう。ご自宅まででよろしいですか? それとも駅までにいたしましょうか」
私は、原田さんに向き直って言った。
「これからふたりでお疲れ様会しませんか?」