恋は買収できません!~厄介な幼馴染CEOの強引すぎる溺愛~
⑲
合鍵でマンションに戻ると、蒼真がリビングから駆けてきた。
「戻っ……て、きたのか」
「当たり前じゃない。私の荷物、全部ここにあるのよ」
玄関の隅にはもう届いていたらしい私宛の段ボールが置かれていた。
「荷物、受け取ってくれてありがと」
「あ……ああ」
「あんたも一緒に見る? たぶん小学校の頃とかの懐かしい物が入ってると思う」
箱を開けると、中には小学生時代の写真や友達からもらった折り紙でできた手紙、当時ハマっていたキャラクターグッズなどが入っていた。
「懐かしい……」
色褪せつつある写真のどれを見ても、幼い私の横はいつも蒼真が陣取っている。
「あんたも、この頃は可愛いわね」
写真を突き出すと、蒼真は驚いたように目を瞠る。
「……この頃はってなんだ。今だって可愛いだろうが」
「ぷっ、自分でそんなこと言う?」
いつもみたいに話しかけると、蒼真の口元にも笑みが戻った。友達との交換日記や通知表なんかも出てきたけれど、箱の中の大半を占めていたのは蒼真からもらった手紙や贈り物だった。
(あの時は気付かなかったけど、毎月お小遣いを必死に貯めてプレゼントしてくれてたんだよね)
一番下からは、蒼真が私の大学進学のために用意してくれた資料の分厚いファイルが出てきた。
(こいつってほんと……昔から私のこと大好きなんだ)
押しつけるように受け取らされていた愛情が、なんだか今は違うように見える。
「……ねえ、蒼真」
「ん?」
幼い私たちのツーショット写真から顔を上げた蒼真は、過去を懐かしむ優しい顔をしていた。
「私、助けてほしい時はちゃんと言う。あんたが私を見てて気付いたことがあるなら、教えてくれればいい。でも、最後にどうするかは私に決めさせて」
蒼真はしばらく言葉を探していたようだけれど、やがて口を開いた。
「お前が出て行こうとした時、何がなんでも止めてやると思った。だがその時、千佳が言ってたことの意味がわかった。お前が出ていくのを止めることも、お前の意思を無視して俺の望む通りにさせることだったんだと。お前から選択肢を奪ってたんだな……昨日だけじゃない、今までずっとだ」
蒼真は俯き、唇を噛む。
「俺はお前を幸せにするつもりでやってきたが、それはお前が望んだ幸せじゃなかった。そのことに、今さら気付いた」
「もう……遅すぎだよ」
だけど、初めて私の言葉が届いた気がした。私は蒼真の頬を両手で包み、顔を上げさせてまっすぐ見つめた。
「ねえ、蒼真。あんたのこと、考えてもいいわよ」
「あ……?」
「恋人になること。私の気持ちを無視したやり方をやめるならね」
蒼真を選ぶと約束するわけじゃない。でも、私の意思を大事にしてくれるなら、ちゃんとこいつと向き合ってみたい。だって間違いなく蒼真は、世界で一番私のことを愛してる。
「私には、あんたを好きになる権利だってあるんだから」
「千佳……」
蒼真は目を見開き、眩しいものを見るみたいに目を細める。
「俺が惚れた女は、思っていたよりずっといい女だったらしい」
つり目がちの瞳が、宣戦布告でもするように私を見据えた。
「必ずお前を惚れさせてみせる。誰と付き合うかも、どんな仕事を選ぶかも、どう生きるかも、お前が決めることだ。……その上で、どれだけ他の選択肢があっても、最後には必ず〝神崎蒼真を選びたい〟と思わせてみせる。覚悟しとけ」
相変わらず自信たっぷりな言葉に、私は思わず吹き出した。
「楽しみにしてるわ」
「戻っ……て、きたのか」
「当たり前じゃない。私の荷物、全部ここにあるのよ」
玄関の隅にはもう届いていたらしい私宛の段ボールが置かれていた。
「荷物、受け取ってくれてありがと」
「あ……ああ」
「あんたも一緒に見る? たぶん小学校の頃とかの懐かしい物が入ってると思う」
箱を開けると、中には小学生時代の写真や友達からもらった折り紙でできた手紙、当時ハマっていたキャラクターグッズなどが入っていた。
「懐かしい……」
色褪せつつある写真のどれを見ても、幼い私の横はいつも蒼真が陣取っている。
「あんたも、この頃は可愛いわね」
写真を突き出すと、蒼真は驚いたように目を瞠る。
「……この頃はってなんだ。今だって可愛いだろうが」
「ぷっ、自分でそんなこと言う?」
いつもみたいに話しかけると、蒼真の口元にも笑みが戻った。友達との交換日記や通知表なんかも出てきたけれど、箱の中の大半を占めていたのは蒼真からもらった手紙や贈り物だった。
(あの時は気付かなかったけど、毎月お小遣いを必死に貯めてプレゼントしてくれてたんだよね)
一番下からは、蒼真が私の大学進学のために用意してくれた資料の分厚いファイルが出てきた。
(こいつってほんと……昔から私のこと大好きなんだ)
押しつけるように受け取らされていた愛情が、なんだか今は違うように見える。
「……ねえ、蒼真」
「ん?」
幼い私たちのツーショット写真から顔を上げた蒼真は、過去を懐かしむ優しい顔をしていた。
「私、助けてほしい時はちゃんと言う。あんたが私を見てて気付いたことがあるなら、教えてくれればいい。でも、最後にどうするかは私に決めさせて」
蒼真はしばらく言葉を探していたようだけれど、やがて口を開いた。
「お前が出て行こうとした時、何がなんでも止めてやると思った。だがその時、千佳が言ってたことの意味がわかった。お前が出ていくのを止めることも、お前の意思を無視して俺の望む通りにさせることだったんだと。お前から選択肢を奪ってたんだな……昨日だけじゃない、今までずっとだ」
蒼真は俯き、唇を噛む。
「俺はお前を幸せにするつもりでやってきたが、それはお前が望んだ幸せじゃなかった。そのことに、今さら気付いた」
「もう……遅すぎだよ」
だけど、初めて私の言葉が届いた気がした。私は蒼真の頬を両手で包み、顔を上げさせてまっすぐ見つめた。
「ねえ、蒼真。あんたのこと、考えてもいいわよ」
「あ……?」
「恋人になること。私の気持ちを無視したやり方をやめるならね」
蒼真を選ぶと約束するわけじゃない。でも、私の意思を大事にしてくれるなら、ちゃんとこいつと向き合ってみたい。だって間違いなく蒼真は、世界で一番私のことを愛してる。
「私には、あんたを好きになる権利だってあるんだから」
「千佳……」
蒼真は目を見開き、眩しいものを見るみたいに目を細める。
「俺が惚れた女は、思っていたよりずっといい女だったらしい」
つり目がちの瞳が、宣戦布告でもするように私を見据えた。
「必ずお前を惚れさせてみせる。誰と付き合うかも、どんな仕事を選ぶかも、どう生きるかも、お前が決めることだ。……その上で、どれだけ他の選択肢があっても、最後には必ず〝神崎蒼真を選びたい〟と思わせてみせる。覚悟しとけ」
相変わらず自信たっぷりな言葉に、私は思わず吹き出した。
「楽しみにしてるわ」