最強ヴァンパイアに溺愛されています!
そして最後に、ルカが自分のくじを見た。

教室の空気が妙に静まる。

「九条、どこ?」

夜斗が面白がるように聞くと、ルカは無言で席表に視線を向けた。
そのまま数秒黙り込み、ふっと眉を寄せる。

「……一番後ろ」

「え」

美月は思わず声を上げた。

一番後ろの窓際。
美月の席からは少し離れている。
見えない距離ではないけれど、今までみたいにすぐ隣ではいられない。

「うわ、外したな」

夜斗が笑いをこらえきれない様子で言う。

「珍しく運ないじゃん」

「うるさい」

ルカの声が低い。
でもその顔は、本気で不機嫌だった。

席替えが終わり、それぞれが移動を始める。
美月も新しい席へ荷物を運んだけれど、どうしてか少しだけ落ち着かない。

ルカくん、怒ってるかな。
さみしいと思ってるの、私だけかな。
そんなことを考えながら椅子に座った、その時だった。

「白雪さん、よろしくね」

横から玲がやさしく笑いかけてくる。
前の席では奏多が振り向き、後ろからは夜斗がひょいと机に肘をついた。
少し離れた場所には冬真もいる。

「あ、うん……よろしく」

返事をしたものの、どうしても気になってしまう。
美月はそっと教室のいちばん後ろを見た。

窓際の席に座るルカと、目が合う。

その瞬間、ルカがすっと立ち上がった。
教室の何人かがざわめく中、彼は迷いなく美月のところまで歩いてくる。

「る、ルカくん?」

ルカは答えない。
そのまま美月の机の横に立ち、少しかがんで耳元へ顔を寄せる。

「そんな顔するな」

「え……」

「離れたくらいで泣きそうになるな」

低い声で囁かれて、美月の心臓が跳ね上がる。

「な、泣きそうなんて……」

「違うのか」

違わないとは言えない。
少しだけさみしいと思ってしまった。
それを見抜かれたみたいで、恥ずかしくてたまらない。

するとルカは、ほんの少しだけ口元をゆるめた。

「なら大丈夫だ」

「なにが……?」

「お前も同じなら、それでいい」

その言葉の意味を考えるより先に、ルカの指先が美月の頬にふれる。
人目があるのに、ためらいのないやさしさだった。

「休み時間ごとに来る」

「えっ」

「昼も迎えに来る。放課後も一緒に帰る」

真顔で宣言されて、美月は完全に真っ赤になる。

「ちょ、ちょっと……」

「離れた気がしないようにしてやる」

あまりにもまっすぐで、甘くて、ずるい。

「九条、それはさすがに重いって」

夜斗が笑いながら言う。

「でもまあ、気持ちは分かるけど」

「俺も休み時間ごとに来ます」

奏多が対抗する。
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