最強ヴァンパイアに溺愛されています!
授業の後半。
ノートを取っていた美月のシャープペンが、ころんと机の下に落ちた。

「あっ」

かがんで拾おうとした時、少し遠くから椅子の音がした気がした。
でも次の瞬間、美月の足元には見慣れたシャープペンが戻っている。

顔を上げると、神楽冬真が何事もなかったみたいに前を向いていた。
通路を通るついでに拾ってくれたのだと気づいて、胸があたたかくなる。

授業が終わったらお礼を言おう。
そう思って小さく笑った、その時だった。

教室のいちばん後ろで、ルカがじっとこちらを見ていた。

今度ははっきり分かった。
少しだけ不機嫌そうだ。

え、どうして。
と思ったけれど、理由に心当たりがありすぎる。

玲に助けられて、奏多と話して、冬真にもさりげなく助けられた。
たぶんその全部を、ルカは遠くから見ていたのだ。

けれど不思議だった。
怒っているように見えるのに、目が合うとすぐ逸らさず、ただじっと見つめてくる。

まるで言葉にしなくても、
ちゃんと見てる
そう伝えてくるみたいに。

そして授業終了のチャイムが鳴った瞬間。
ルカが立ち上がる。

早い。
誰よりも早く。

美月が目を丸くしているうちに、ルカはまっすぐこちらへ歩いてきた。
教室の中がざわっとする。

「ル、ルカくん?」

ルカは机の横に立つと、何も言わず美月のノートを見た。
そこには途中で少し乱れた字が並んでいる。

「集中できてない」

「えっ」

「さっきから全然だろ」

図星すぎて、言葉が詰まる。

「そ、それは……」

「俺のせいか」

低く落ちた声に、心臓が跳ねる。
そんなこと、言えるわけがない。

けれど黙っていると、ルカはわずかに目を細めた。

「なら、少しは安心した」

「安心……?」

「離れた席で平気そうだったら、たぶん今より苛立ってた」

真顔でそんなことを言うから、美月はまた顔が熱くなる。

「もう……ルカくん、ずるい」

「お前が悪い」

「なんで」

「俺ばっかり気にしてるみたいになる」

一瞬、言葉を失う。
それはつまり、ルカも同じようにずっと気にしていたということだ。

遠い席でも、ずっと。
授業中も、休み時間も。

そう思っただけで、胸の奥がふわっと甘くなる。
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