最強ヴァンパイアに溺愛されています!
「……私も気にしてたよ」

小さく言うと、ルカの目がわずかに揺れた。

「遠いなって、思ってた」

教室のざわめきが、少しだけ遠くなる。
ルカは数秒黙っていたけれど、やがてふっと力を抜くように息をついた。

「ならいい」

それだけ言って、ルカの指先がそっと美月の机をなぞる。
直接ふれないぎりぎりの距離。
なのにその仕草だけで、ひどく甘い。

「次の休み時間、来る」

「うん」

「ちゃんと顔見せろ」

「見せるよ」

そのやり取りだけで、どうしようもなく嬉しくなる。

すると前の席から、奏多がくるっと振り向いた。

「なにそれ、俺もいるんですけど」

「静かにしろ」

ルカが即答する。

「九条先輩ばっかりずるいです」

「そう思うなら諦めろ」

「諦めません」

その応酬に、夜斗が後ろで笑い、玲はやれやれという顔で目を細めた。
冬真は静かなままだったけれど、美月の机に戻されたシャープペンを見て、ほんの少しだけ口元をゆるめた気がした。

教室はにぎやかなまま。
でもその中で、美月の胸にいちばん強く残るのは、やっぱりルカの視線だった。

離れていても、ちゃんと見つけてくれる。
遠くても、まっすぐ気持ちを向けてくれる。

それがこんなに嬉しいなんて、もう気づかないふりは難しかった。
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