最強ヴァンパイアに溺愛されています!
教室を出た瞬間、さっきまで張りつめていた空気が少しだけほどけた。
けれど美月の鼓動はむしろ速くなっていく。

「ルカくん」

「なんだ」

「さっきの……」

あんなふうにみんなの前で言ってしまったことを思い出して、また恥ずかしくなる。

「私、すごく恥ずかしかったんだけど」

するとルカは足を止めた。
廊下の窓から差しこむ夕方の光の中で、ゆっくり美月を見る。

「俺は嬉しかった」

真っ直ぐすぎる返事だった。

「……っ」

「お前が自分で選んで、俺の名前を出した」

ルカの声が少し低くなる。

「それだけで十分」

胸が苦しい。
こんなふうに言われたら、もうだめだと思う。

「でも」

ルカが美月に一歩近づく。

「正直、足りない」

「え?」

「今日ずっと、あいつらに囲まれてるお前見て苛立ってた」

隠そうともしない嫉妬。
それなのに、ルカの手はやさしく美月の頬に触れる。

「昼のあと、もっと俺だけ見てほしかった」

その言葉に、美月の心臓が大きく跳ねる。

「ルカくん……」

「無理って分かってる」

そう言いながらも、ルカは少しだけ眉を寄せた。

「でも、分かってても嫉妬する」

こんなふうに本音を見せられるなんて思わなかった。
いつも余裕そうなのに。
強くて、きれいで、何でも平然としていそうなのに。

自分のことでこんなに揺れてくれる。
それがたまらなく嬉しかった。

「……私も」

気づけば言葉がこぼれていた。

「ルカくんが、遠かったりすると、やだなって思う」

ルカの目が見開かれる。

「ほかの人と話してても、なんか気になっちゃうし……」

最後まで言い切る前に、ルカの指先が頬からあごへとすべって、そっと顔を上向かせた。

「それ以上言うな」

「え……」

「今のでもう十分やばい」

低い声が甘すぎて、足元がふわふわする。
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