最強ヴァンパイアに溺愛されています!
「美月」

名前を呼ばれるだけで、息が止まりそうになる。

「今日、あいつらの前で言ったこと」

「う、うん」

「忘れるな」

ルカはそう言って、美月の額にこつんと自分の額を寄せた。

「お前が選んだのは俺だ」

たったそれだけなのに、胸の奥まで熱くなる。

「……うん」

「だから今日は、ちゃんとその分甘やかす」

「えっ」

意味を考えるより先に、ルカがふっと笑う。
それは勝った人の余裕みたいでもあり、
やっと欲しい言葉をもらえた人の嬉しさみたいでもあった。

「帰り道、手つなぐ」

「る、ルカくん」

「嫌ならやめる」

そう言うくせに、目は全然やめる気がない。

美月が黙っていると、ルカは小さく息をついた。

「……嫌じゃないんだろ」

図星だった。
悔しいくらい、嫌じゃない。

そっと差し出された手に、ためらいながら自分の手を重ねる。
その瞬間、ルカの指がしっかり絡んだ。

「よくできた」

子ども扱いみたいなひと言なのに、声がやさしくて甘い。
美月はまた顔を赤くするしかなかった。

ルカはそんな美月を見て、少しだけ満足そうに目を細める。

「今日はもう、逃がさない」

その言葉どおり、ふたりは手をつないだまま夕暮れの廊下を歩き出す。
背中の奥にまだみんなの視線が残っている気がする。
でも今は、それよりも隣の体温のほうがずっと強い。

嫉妬は苦しいはずなのに、
ルカの嫉妬はどうしてこんなに甘いんだろう。

そんなことを思ってしまうくらい、
美月の心はもうとっくに、ルカに大きく傾き始めていた。
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