パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
空へ続く約束
 
 都内の閑静な高級住宅街。その一角で圧倒的な存在感を放つ邸宅を目にした人は、誰もが裕福で、絵に描いたような幸せな家族が暮らしているのだろうと想像するはずだ。
 
 高いコンクリート塀に囲まれ、美しく手入れされた木々の隙間からわずかに覗く重厚な佇(たたず)まいの家――そこが、私、朝倉美桜が生まれてから二十五年間を過ごしてきた場所だった。
 
 幼い頃、この家には確かに幸せな時間が流れていた。陽光が差し込む広いリビングから続くテラス、その向こうに広がる芝生の庭にはブランコがあり、母のお手製のかわいらしいワンピースを着た私は、母の膝の上で揺られながら笑っていた。その温かな記憶だけは、今も色あせることなく胸の奥に残っている。
 けれど、今の私にその面影はない。
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