パイロットパパは、三つ子とママを諦めない

 けれど今は違う。

 ゆっくりと息を吸い込めば、青草と土の匂い、それに少し湿り気を帯びた風の香りが胸いっぱいに広がり、それだけで張り詰めていた心がほどけていくような気がした。
 この場所へ来て五年近く。
 初めは不安しかなかった。ちゃんと育てられるのか。この子たちを守れるのか。何も告げずに、逃げるようにここに来てしまったことを彼はどう思っているのだろうか――。
 それを考えると眠れない夜もあった。
 それでも、小さな手で私の指を握り返し、初めて『ママ』と呼んでくれた日、私はようやく前を向くことができた。
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