パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
 私がそう尋ねると、男性は驚いたように目を見開いた。

「……ええ、そうです。自宅スタンバイだったんですが、急な招集がかかりまして。でも、この列では……」
 困ったようにタクシー待ちの列へ目を向ける彼に、私は確信を持って口を開いた。
「やっぱり。私、もうすぐタクシーに乗れるんです。行き先も空港なので、よろしければ一緒に乗っていかれませんか?」
 突然の申し出に、彼は一瞬驚いたように目を見開いたものの、すぐに柔らかく表情を緩めると、綺麗な所作で深く頭を下げた。

「ありがとうございます」
 ちょうどそのタイミングで順番が回ってきて、タクシーのドアが静かに開く。

 後ろから「乗らないんですか!」と苛立った声が飛んできたため、私たちは顔を見合わせ、小さく会釈を交わして慌てて車内へ乗り込んだ。

 運転手へ羽田空港までと告げると、ようやくふたり揃って安堵の息をつく。
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