パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
「本当に助かりました。急病人が出て、自宅スタンバイ中だった私に急な呼び出しがかかったんです。申し遅れました。TKでパイロットをしております、高瀬蒼真と申します」
 そう言ってにっこりと笑うと、彼は慣れた手つきで名刺を差し出した。
 TK航空といえば、実家の会社の親会社でもあるTKSグループの航空会社だ。グループの中でも名の知れた大手企業だ。見知らぬ女性とタクシーを相乗りするのだから、怪しい者ではないと示す意味もあるのだろう。
 洗練された所作には無駄がなく、名刺を差し出すひとつひとつの動作まで自然で、パイロットという職業がこれほど似合う人も珍しいのではないかと思ってしまう。

「いえ、困った時はお互い様ですから。朝倉美桜と申します」
 名刺を渡そうかとも思ったが、ちょうど名刺を切らしてしまっていて、私は手を止めた。

「すみません、ちょうど名刺を切らしていて。通訳をしています」
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