パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
「黒(くろ)崎(さき)社長のコアコードは……またかなり業績を伸ばしていますね」
 問題のある関連会社の資料へ目を通していると、不意に基樹の視線を感じた。
 基樹はTKSグループ関連企業の社長を父に持ち、幼い頃からの付き合いでもある。将来はいずれ父親の会社を継ぐのだろうが、今は俺と同じように研修を兼ねてTKS本社で経験を積んでいた。
「ただ業績は上がっていますが、黒崎社長はあまりいい噂を聞きません」

 ため息交じりにそう言った基樹は、「それと……」と続ける。
 嫌な予感しかしない。
 案の定、その予感は当たった。

「奥様から伝言を預かっています」
「いい。聞かなくてもわかる」
「そうおっしゃいましても」
 秘書として淡々と職務を果たそうとする基樹を見据え、俺は軽く息をついた。

「基樹、いい。どうせ見合いの話だろ?」
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