パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
「俺は今、ただの操縦士の高瀬蒼真だ。運転手なんていないんだよ」
 そう言うと、基樹は「はいはい」とだけ答えた。

「コアコードと、パシフィック・エアフーズの追加資料を用意しておいてくれ」
 俺はジャケットを手にしながら基樹に指示を出すと、フライトバッグを手にした。
 パシフィック・エアフーズ――TK航空の機内食を手がける関連企業だが、こちらも最近、経営陣の黒い噂が耳に入っていて気になっていた会社だ。

「かしこまりました」
 その声を聞きながら、俺は急いで会社を出て駅へと向かったのだが――。
 その判断が仇になった。
 品川駅での人身事故。全線運転見合わせ。

「嘘だろ? この列、どれだけ待つんだよ……」
 駅の外へ駆け出したが、タクシー乗り場には絶望的な長さの列ができていた。スマホの画面と、はるか先まで続く列を交互に見つめるたび、焦りが募る。
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