パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
「あと四十分でオペレーションセンターに入らなきゃならないのに、これじゃ間に合わない……。他をあたるにも……」
 思わず小さく呟いた、その時だった。

「あの」

 唐突に声をかけられ、弾かれたように振り返る。
 そこに立っていたのは、真っ黒な髪を後ろでひとつに結んだ、落ち着いたスーツ姿の女性だった。
 一瞬、こんな時にナンパか、そう思ってしまった俺だったが、その奥にある凛とした瞳の美しさに、ほんの一瞬だけ目を奪われる。

 こんな急いでいる時に話しかけられても困る。邪魔だったんだろうと思わせて、この場を離れようとした。

「あ、すみません、邪魔でしたか?」
 後ずさる俺に、彼女は慌てて首を振る。

「いえ、そうではなくて……パイロットの方ですよね? 羽田空港方面ですか?」
「……ええ、そうです。自宅スタンバイだったんですが、急な招集がかかりまして。でも、この列では……」
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