パイロットパパは、三つ子とママを諦めない
「やっぱり。私、もうすぐタクシーに乗れるんです。行き先も空港なので、よろしければ一緒に乗っていかれませんか?」
 厚意で声をかけてくれたことを、あさましくもいつものナンパだと思ってしまった自分を内心で戒めながら、俺は彼女と一緒にタクシーへ乗り込んだ。

 それが、俺と朝倉美桜の出会いだった。

 通訳だという彼女と話す時間は、驚くほど短く感じられた。

 自分の仕事について語る彼女は楽しそうで、俺が空の話をすると、興味深そうに耳を傾けてくれる。地味な服に身を包んでいるが、よく見れば驚くほど綺麗な人だった。

 もう少し話してみたい。そんなふうに思った女性は久しぶりだった。が、今日は時間がない。空港で支払いを済ませてタクシーを降りたあと、気づけば振り返って彼女に声をかけていた。
「お礼をさせてください。先ほどお渡しした名刺の連絡先に、メッセージをください」
< 59 / 61 >

この作品をシェア

pagetop