愛想のない教育係が、私にだけ甘い理由
「日曜の夜、空けておけ」

「業務命令ですか?」

「祖父からの、三度目の催促だ」

背筋を伸ばした。

「やり遂げます」

「そういう問題じゃない」

笑い合ううちに、ふと思いついた。

「そういえば、苗字、一度も呼んだことないですよね。……伊集院さん」

足が止まった。彼は手の甲で口元を覆って顔を背ける。

「やめろ。心臓に悪い」

「じゃあ、京介さんのままで」

悪戯っぽく笑って距離を詰めると、彼が顔を寄せてきた。耳元で低い声が言う。

「Je ne te lâcherai plus」

「え? 今の、なんて?」
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