愛想のない教育係が、私にだけ甘い理由
怒られると思っていたのに、返ってきたのは許しですらなく、次の約束だった。
私はずっと、「出しゃばるな」と言われる側の人間だと思っていた。誰かの隣で、黙って言葉を飲み込むのが、自分の役目なのだと。
目頭が熱くなって、慌てて瞬きをする。泣くのはまだ早い。
「はい。やり遂げます」
言いきると、京介さんの口の端がほんのわずかに上がった。
「よし」
そう言って、彼は夕暮れの廊下へ消えていく。
残されたのは、耳に残った言葉と熱の引かない指先。
愛想のない人が、どうしてあんな声を出したのだろう。苗字を隠す理由も、新人の教育係に収まっている理由も、分からないことばかりだ。
それでも、あの笑みは見間違いじゃない。そう確かめたくなっている自分に気づいて、私は制服の袖をぎゅっと握りしめた。
私はずっと、「出しゃばるな」と言われる側の人間だと思っていた。誰かの隣で、黙って言葉を飲み込むのが、自分の役目なのだと。
目頭が熱くなって、慌てて瞬きをする。泣くのはまだ早い。
「はい。やり遂げます」
言いきると、京介さんの口の端がほんのわずかに上がった。
「よし」
そう言って、彼は夕暮れの廊下へ消えていく。
残されたのは、耳に残った言葉と熱の引かない指先。
愛想のない人が、どうしてあんな声を出したのだろう。苗字を隠す理由も、新人の教育係に収まっている理由も、分からないことばかりだ。
それでも、あの笑みは見間違いじゃない。そう確かめたくなっている自分に気づいて、私は制服の袖をぎゅっと握りしめた。