僕に好かれて困った君、愛でたい!
♪ふんふふんふーん~
これが夏の日差しかーー!最高っ!!

先程までとは全く別人のように、
すっかりいつもの陽気で明るいリキに戻っていた。

足取りも軽い。思わずスキップも挟んで
行き交う恋人同士に、この夏の予定とか聞きたくなった。
楽しくて仕方ない!

最近の中で、モモちゃんの次に良い感じ!
でも、ナオちゃんの中では僕が一番になってあげる。

僕のことを好きなおねーさん♪


ーーーーーーー
「まだ戻んないの?甘えん坊将軍!」
ヒロはベースを鳴らして舌打ちをした。

タツは、「まぁまぁ」と制するようにドラムを叩いた。

マネージャーの間々谷はスマホをつけたり消したり、電話をかけようか悩んでいた。

「まさか、前みたいに……」
ボソッとマネージャーが呟く。

シオンは、ギターを弾いてはノートにペンを走らせていたが、
前髪をかき上げながら、時計を見た。
「戻ってくるよ」

「前って……?」
シオンの傍にいたモモが思わず耳打ちをした。
「んー、前は逃亡かな?」
シオンがそう答えると、すぐさまヒロが付け足した。
「アイツ……失恋すると、自暴自棄になっちゃうめんどくせぇ奴なの」

モモは「えぇ」と、嘘みたいな本当の話をされて驚いていた。
リキらしいと言えば、らしい。
というか、犬?

仕事休みの時だけ、
身の回りの手伝いをしているモモ。
と言っても、シオンがただ傍においておきたいだけなのだが。

モモは小さくため息をついた。
今日は帰った方が良さそうな気がする。
原因はわたしだって、ヒロさんは言った。
シオンは、気にするなと言ってくれたけど。

心配そうなモモを見て、シオンは悟った。
「電話で言ったやつ、持ってきてくれた?」

「うん」

「なら大丈夫」

しばらくして、足取り軽くリキが戻ってきた。
一斉に安堵のため息が漏れる。
「たっだいま~♪」

真っ先にヒロが絡む。
「お!上様のおな~り~」
「なにそれ?」
リキはきょとんとしつつも、
すぐに笑顔で、モモの傍に走り寄ると
手に持っていた袋からゴソゴソと1つ取り出した。

「はい、モモちゃんにだけアイスあげるー」
「ありがとう」
モモは嬉しそうに受け取ろうとした時、リキの指に視線がとまった。

「あ、ネイル変えたのー?」
すぐに変化に気づいた。
「バナナ!可愛い!!」

リキはクシャッと笑うと、手を上に上げて
小指のバナナを眺めた。
そして満足そうにリキは言った。

「僕の、好きなものを、いつもここに閉じ込めるの」
モモはもう一度、「可愛い」と言って微笑んだ。
可愛いと言ってるモモちゃんが一番可愛い!

「おい!リキ!!ハウス!!!」

シオンの怒鳴り声が低く響く。
あ、
無意識にモモちゃん抱きしめちゃってた。

リキは舌をペロッと出して誤魔化した。
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