年下CEOの専属家政婦ですが『抱き枕』は業務に含ませていません!

③

「彰臣くんの許にって……言われても……」

 四年振りに帰国した彰臣は二十二歳になっている。
 私のことを忘れて欲しくはなかったし、彼から連絡をくれて舞い上がっているのも自覚している。成人した彼に会いたい気持ちがあるのは親心のようなものだ。

 だからと言って『はい、仕事辞めます』なんて二つ返事をできるわけもない。

 若い彰臣にとっては四年という時間は人生のほんの一部だろうが、私は今年三十二歳になる。
 懇意にしてくれた人に絆されて、せっかく就いた仕事を投げ出すような冒険をするのは勇気がいる。

 彰臣は私に家政婦として帰ってこいと言ってくれてる。けれど御堂家にはとっくに別の家政婦が補充されていて、人を増やす必要もないんじゃないのか。
 そうなれば、また一から新しい人間関係を築いていかなければならないわけで……。この歳になると何事も一から始めるのは相当な体力と気力が必要で、最も億劫になる原因なのだ。

 そんなふうに断る口実を考える傍ら、彰臣に会いたい気持ちは大きく渦巻いている。

「少し、考えさせて欲しいんだけど」
 声を振り絞って保留にしてもらおうと頼む。
 けれど彼は私に連絡をして来た時点で、当然の如く私を呼び戻すという選択肢しか準備していない。

『明日の夜、迎えに行く』
「そんなの悪いよ。それに彰臣くんも忙しいでしょ」
『だから早く美織に戻ってこいと言ってる。今から車を走らせても良いくらいだ』
「でも私が今どこに住んでるかも知らないじゃない」
『そんなのとっくに調べている』

 御堂財閥の人間に楯突くつもりはないが、仕事が早過ぎないかと面食らってしまった。
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