年下CEOの専属家政婦ですが『抱き枕』は業務に含ませていません!

④

 住んでるアパートを彰臣に見られたくはない。——もう調べ尽くされていると分かってても、実際のこの部屋の狭さと質素さを目の当たりにすれば、ドン引かれるのは目に見えている——
 
 実家には帰りたくないし、職場に通いやすくて家賃がなるべく安いところが良い。住む条件はそのくらいだった。一人で住むのに広い空間なんて必要ないし、荷物も然程多くない。
 それは“この部屋には誰も入らせる予定もない”からこそ成立している条件なのだ。
 現に、この歳になっても彼氏の一人だってできたことはない。

『明日は何時頃に帰る予定なんだ?』
「えっと……多分十九時過ぎには帰ってるかな。どこかで待ち合わせようか?」

 とりあえず、ここから少しでも離れた場所で……と提案してみたが『必要ない』と一言で断られてしまった。
 彰臣は意地でもこのアパートへ来るつもりなのだ。
 仕方なく約束をしてしまう。

 電話を切った後、「待って、着てく服ないよ……」と、冷や汗を掻く。
 学生の頃は職場が準備してくれた制服があったし、直雇用となってからは奥様がよくプレゼントをしてくれていたため、服には恵まれていた。

 けれど保育士になってから一番ヘビロテしているのは、子供ウケしそうな淡い色のジャージにキャラクターもののエプロン。足元は当然スニーカーだ。

「どうしよう……」
 慌ててクローゼットを開けても、視界に映るのはスウェット素材やオーバーサイズのアウター。一応の冠婚葬祭用の黒スーツのみ。
 女性らしい華やかなワンピースは一着も持っていなかった。

 これでは彼氏の一人もできないのだって仕方ない。
 ガックリと肩を落としたけれど、今から服を買いに行くこともできず、明日の時間も本当に帰ってきて間もない時間を伝えてしまった。

「いやでも……見窄らしい私を見れば、御堂家には相応しくないと判断して、家政婦の話はなかったことになるかもしれないよね」
 独り言を呟いた。
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