【試し読み】転生公女は任期満了に伴い家族の元に帰らせていただきます~役立たずと捨てられましたが、『星詠み』は国を守る希少スキルですよ?~
「ジーナ!」
 バタン、と大きな音を立てて外から扉が開いた。
「きゃっ」
 今まさに扉を開けようとしていたメイドが悲鳴を上げる。
 無作法に入室してきたのは、ウィーデル国の王太子チェスターだ。
 金髪碧眼の、非常に整った外見の王太子。
 だが、わたしは密かに「顔だけ王子」と呼んでいる。彼がいいのは顔だけで、中身は散々だからだ。天は二物を与えないとは本当かもしれない。
 あ、かろうじて「王子」という身分があったわ。これは二物と呼んでいいのかしら? なんて、どうでもいいことを考える。そのくらい、わたしにとって彼はどうでもいい存在だった。
 ……会うのは一か月ぶりかしら?
 一か月前に公務で会ったのを最後に、この婚約者とは会っていなかった。
 宰相あたりは何か新しい予言がないかと、週に一、二度はここを訪れるが、チェスターはまったくと言っていいほどやってこない。
 そんな、正直わたしにとっているのかいないのかもわからないような、どうでもいい婚約者の側には、ひとりの少女がいた。見覚えのある顔な気がするので貴族令嬢だろう。どこぞのパーティーで会ったことがあるのかもしれない。
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