放課後、秘密の特別教室。〜イケメンな精霊たちは、私をあきらめない〜
第13章:絶望の階段と、四人の騎士
私たちは、新館の屋上へと続く階段を駆け上がっていた。
普段なら何でもない階段が、今はまるで無限に続く奈落の底のように、上へ進むほどに闇が深く、重くなっていく。

「ウソツキ……。誰も、私のことなんて見てくれない……」

階段の壁から、松下さんの泣きじゃくるような声がエコーとなって響いてくる。
それと同時に、どろりとした黒い触手が、幾重にも重なって私たちの行く手を阻んだ。

「ここはボクに任せて!」
響くんが前に躍り出た。彼は宙に光の指揮棒(タクト)を出現させると、激しくそれを振り下ろした。
「響け、不滅のロンド! 醜いノイズよ、ボクたちの愛の前にひれ伏しなさい!」

凄まじい音の爆発が起こり、前方の触手が一瞬で消し飛ぶ。
「今のうちに走って、紬ちゃん!」
響くんが私を振り返り、ウィンクを投げかける。

「ありがとう、響くん!」

さらに上へと登る。しかし、三階の踊り場に達したとき、今度は壁から無数の「不合格」「ダメな子」といった、黒い文字で書かれた紙の嵐が吹き荒れ、私たちの視界を完全に奪った。松下さんが抱える、成績や周囲からのプレッシャーが具現化したものだ。

「文字の暴走か……。僕の専門分野だね」
司くんが静かに一歩前に出た。彼が手にした本を天に掲げると、頁から眩しい光の文字が飛び出し、黒い紙の嵐を一つずつ相殺していく。
「紬ちゃん、目を閉じずに僕の背中を見ていて。君の視線が、僕に無限の力をくれるから」

司くんの物静かだけど力強い言葉に、胸がキュッとなる。

「司、余計な私情を挟むな。効率が落ちる」
蓮くんが司くんの横をすり抜け、私の前に立った。彼の周囲に浮かぶ幾何学的な光のバリアが、漏れてきた黒い霧を完全に蒸発させていく。
「マスター、僕から離れるなと言ったはずだ。ほら、その鍵を僕の触媒(フラスコ)に向けろ」

「う、うん!」
私が鍵を蓮くんの差し出すフラスコに向けると、中に入っていた透明な液体が、パァァッと眩しい純白の光へと変化した。
「これで物質的な障壁はすべて無効化する。――行くぞ!」

蓮くんの科学の力によって、闇の階段に一本の「光の道」が切り拓かれた。
私たちはついに、最上階の屋上の扉の前にたどり着いた。
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